門松の歴史と見本
門松のいろんな種類を画像で紹介しています。
門松の歴史
門松は、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、年神様を家に迎え入れるための依り代という意味として、新年に松を家に持ち帰る習慣は平安時代に始まり、室町時代に現在のように玄関の飾りとする様式が決まったと言われる。本来名前の通り、「松」が主役なのですが、いつの間にか竹が主で、松は従(飾り)になっています。
「門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」
初期のころは、根付きの松の木を家の角に飾っていたことから「門松」と言っていたそうなのですが、竹が主役になってきたのは戦国時代の徳川家康が武田信玄に敗れた、1572年(元亀3)の三方ケ原の戦い(みかたがはらのたたかい)に遡ります。
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昔の門松
元々門松の竹は節から節を直角に切り、三本を束ねた物が主流でした。これを寸胴(ずんどう)と言って、昔の門松は全てこのタイプで、その寸胴を斜めに切ったものを「そぎ」と言い、「削ぐ」から来ているとも言われています。
「そぎ」は、徳川家康が織田信長と組んで武田信玄と戦った三方ケ原の戦いで、家康が逃げ帰った浜松城で苦肉の策「空城の計」という城の門を開いて篝火を焚かせ、追ってきた方は何か企みがあると思い攻め込むことが出来ず、対峙したまま新年を迎えた。
すると家康の元へ信玄側から一通の書状が届き、それには「松枯れて 竹類(たけたぐい)なき 旦(あした)かな」(松平が敗れ、武田が類なき勢いを得た元旦であることよ)と言う句が書かれていた。
それに対した家康の家臣が返した句は、「松枯れで(枯れないで) 武田首(たけだくび)なき 旦(あした)かな」と、濁点を付け替えただけでまったく逆の意味の句で対抗した。
その後、家康は門松の竹を斜めに切り、竹を武田家になぞらえて「(三方ヶ原では大敗したが)次は斬る」との意味合いを込めたとされています。
それ以来、家康は斜め切りした門松の竹を見ては「打倒武田」を誓うとともに、大敗した自分への戒めにしたと云われています。その風習が家臣にも広がり、やがて門松の竹は斜め切りしたものが一般的になったようですが、武田家の本拠地、山梨県甲府の百貨店やホテルなどでも「そぎ」の門松が飾られているそうですから、この説も定かでは有りません。
門松の見本あれこれ
各地の門松はそれぞれ時代などで変革してきているようですが、特に関東地方では大手の百貨店や銀行などで寸胴を設置している所が多くなっているようです。
これは、節が詰まっていることから金融関係に好まれているそうですが、元々は武士が「寸胴」で、商人が「そぎ」を好んで設置していたようですが、関東以外では圧倒的に「そぎ」が多いようです。
以下は私の地域の2012年の門松ですが、私が確認した門松の殆どが「そぎ」で、「寸胴」はひとつもありませんでした。竹の頭を尖らせている物もなく、殆どがカットした物で、これは年末年始で無人になる事業所が多く、事故を防ぐ意味合いでカットしている物が流行っているようです。しかし、竹の束ね方や松やその他の飾り物の飾り方などは様々で興味深いものがありました。
「諏訪神社」の門松
長崎の氏神様「諏訪神社」の門松は高さが3m以上ある立派な物で、大きな社殿に負けないような造りをしています。
竹の切り方は「そぎ」で、内側に低い竹を配し、飾り物は松と梅とゆずり葉、杉と熊笹でした。
「松の森神社」の門松
松の森神社は諏訪神社が、今の場所に移る前にあった場所に建つ神社。「松の森神社の門松」は手造りで、竹の切り方も「そぎ」でした。
ここの竹の並び方は前に2本配置した物で、他の物とは少し違っている物です。
飾り物は、松と梅、南天と杉などです。ここの門松は注連縄の結び方が特徴的できれいです。
大浦町の病院の門松
こちらは某病院の門松
竹の切り方は「そぎ」で、真ん中を注連縄で結んであるのが特徴。
土台の部分は竹で巻いてあり、杉の枝と熊笹、松と南天、葉牡丹の飾り物。
カステラの老舗「福砂屋」の門松
福砂屋の門松は一本の孟宗竹を床から天井まで伸ばし、その中間あたりの節と節の間に切り込みを入れ、生け花のような造りで松と熊笹、万両の木を束ねて入れています。
古い商店の軒先をコンパクトに使った門松です。
料亭「花月」の門松
坂本竜馬や勝海舟など幕末の志士たちも利用した由緒ある料亭の門松。
竹の切り方は「そぎ」で、節は中間あたり、土台は竹を巻いた物で中心には注連縄でアクセント。
飾り物は、松と大きな南天の木、杉に大きめの葉牡丹を一個、熊笹で周りを飾っています。
料亭「青柳」の門松
料亭「青柳」は、丸山の奥の方にあり階段を登りあがった場所が玄関になっていて、その門の前は通路になっているため門松を置くスペースがありません。
この松飾りは竹筒に水を入れて生け花風に仕立てた物で、古い料亭の奥ゆかしい風情を感じます。
飾り物は松と南天、ゆずり葉と梅。
「歴史文化博物館」の門松
歴史文化博物館は元長崎奉行所があった由緒ある場所で、歴史上の古い門松が見られるのではないかと期待していましたが、普通の門松でした。
竹の切り方は「そぎ」で、飾り物は松と梅、葉牡丹と熊笹で、真ん中を注連縄で結んでいます。
「建設会館」の門松
建築屋さんの総本山「建設会館」の門松は少しだけ特色があり、3本の竹をムシロで巻いています。
竹の切り方は「そぎ」で、飾り物は松と南天と梅、葉牡丹と貝塚伊吹で隙間を埋めていました。
老舗旅館「坂本屋別館」の門松
長崎の坂本屋別館は金屋町にある由緒ある旅館で、門松も他とは少し違う雰囲気があります。
竹の切り方は「そぎ」で、飾り物は松と梅、南天と杉、熊笹で周りを飾り、真ん中には丸い注連縄と橙の実を下げていました。
「築城クリニック」の門松
コッコデショで有名な椛島町の築城クリニックの門松は、小さな竹を三本束ねて門の柱に吊るした物で、飾り物はその竹に、松、南天、梅をくくり付けたもので、少し異色な門松です。
「立正佼成会」の門松
宗教法人「立正佼成会」の門松は真ん中の門松が玄関などに飾っている橙付きの注連縄で結んであり、竹の切り方は「そぎ」、頭はカットした物ですが、斜めに切った部分が大きい為かかなり広く感じます。
飾り物は松と梅、万両と葉牡丹で、竹で巻いた土台は2重に仕立てられていて重厚感があります。